ザザムシの脂が乗る時期は冬

実際のザザムシ漁を見るために、Iさんと一緒に小森さん宅にお邪魔させていただいた。小森さんが漁としてザザムシを獲るようになったのはここ数年。漁師といっても本業は別にあるため、獲ったザザムシはほとんど佃煮にして人にあげてしまう道楽漁師だそうだ。

我々も来て早々に自家製ザザムシの佃煮を勧められた。ザザムシの取材なんだから、まあそうだよね。私はこの時がザザムシ初体験だった。

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右から小森さん夫妻と漁協のIさん。

ザザムシの漁期は12/1から2月末と決まっているのだが、小森さんの話によるとザザムシは1月末から二月頭くらいの一番寒い時期こそ身がしまり、脂が乗ってうまいらしい。脂の乗った虫、意味がまったくわからない。

伊那の方には失礼な話だが、ザザムシに対して味へのこだわりがあるとは思わなかった。冬に獲るのはほかに動物性タンパク質が少ないからだけの理由かと思ったら、食べておいしい旬だからという理由もあったのか。

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やっぱりまずは食べてみないと話にならないですよねー。コーヒー with ザザムシ。

獲ってきたザザムシは砂を抱いているため、お湯に入れて砂を出す。それを二回やったのちに手作業でゴミをすべて取って、醤油、みりん、酒などで味をつけ、じっくりと煮詰めてようやく完成。

小森さんの話を聞いていると、ザザムシを食べるためにどれだけ手間をかけるのだと驚いてしまうのだが、近所の人たちは小森さんがザザムシを持ってきてくれるのを心待ちにしており、とても喜んで食べるのだそうだ。


ザザムシ
でかいのはマゴタと呼ばれるヘビトンボの幼虫。これが好きな人も多いそうだが、どうも風の谷のナウシカを思い出してしまう。

ザザムシの味は?

さて肝心の食べてみた感想だが、まず噛んだら脂がジワっと染み出てきてびっくりした。なるほど、今が一番の旬だけあって、確かに脂が乗っている。

その味はいわゆる佃煮の味が基本なのだが、その芯にはワカサギやアサリなどの佃煮では絶対に味わえない独特の昆虫風味がデーンと鎮座している。わかりやすくいうと、イナゴの佃煮のお腹の部分を集めたような味なのである。ってわかりにくいかな。

「これをつまみに日本酒を飲むと最高だよ」と小森さんは笑うが、確かに好きな人がいるのがわかる味わいだ。栄養をとるためのものというよりは、あきらかに嗜好品の範疇だろう。この味が好きな人の中には、塩で煮てザザムシ本来の味を楽しんでいる人もいるらしい。食通が天麩羅を塩で食べるみたいな話なのだろうか。

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奥がカメラマンの坂さん。特別な味ではないけれど特殊な味ではある。

小森さんの世代だと子供のころから当たり前のようにザザムシを獲って食べて育ってきたというのはなんとなくわかるのだが、この日の夜に飲み屋で出会った私と同世代の人も、ザザムシを箸でつまんで獲ってきて、家で料理して食べるという一連の行為が、家族で遊べる楽しいレジャーだったといっていた。だから今でも食卓に並んでいれば、普通に食べるのだという。

ザザムシ獲りというとその文化がない側からすればとても特殊に思えてしまうのだが、本来は山で山菜採りやキノコ狩りをしたり、海で潮干狩りやハゼ釣りをすると変わらないものなのかもしれない。

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コメント

  1. 伊那谷在住の者です。
    しっかり取材されていて、地元としても嬉しいコラムでした。

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