3種類の原木生ハム食べ比べという贅沢

私は生ハムがなんなのかをよくわかっていなかったのだが、田村さんからの受け売りで簡単に説明をすると、豚の塊肉を塩漬けにして長期熟成させることで、乳酸菌などの微生物の力で旨みを引き出したものだそうだ。生ハムというくらいなので、もちろん火は通していない。

豚の中でも特に味がいいとされる後ろ足で作った生ハムをスペイン語で「ハモン」といい、白ブタで作れば「ハモン・セラーノ」、イベリコ豚で作れば「ハモン・イベリコ」となる。

驚くのはその熟成期間で、グルメミートワールドで扱う生ハムは、短いもので16カ月、長いものだと48カ月以上にもなる。それだけの長期の熟成に耐えられる肉質の良さと、職人による加工技術の高さが、この生ハムには詰まっているということだ。

そんな話を聞いてから食べる切りたての生ハムは、私が今まで食べてきたものと、まるっきり別物の生ハムだった。これが本物の生ハムなのか。

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40カ月熟成のハモン・セラーノ。長期熟成だけあって、赤身部分の味の濃さにびっくりした。

今回は特別に3種類の生ハムを食べ比べるという贅沢をさせていただいたのだが、どれも日本で食べる生ハムとは全然違うものだった。いや、ここも日本なのだけど。

肉の繊維と同じ方向で切られた生ハムは断面が滑らかで、噛むと簡単にホロホロと崩れていく。この食感は切りたてならではなのだろう。

塩分は思っていたよりもだいぶ薄いのだが、後味がしっかりと残るので、口に入れてから幸せの続く時間が長い。

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これはスペインのトレベレス地方で作られる無添加のハモン・セラーノ、ハモン・デ・トレベレス。

豚は食べたものによって味が大きく変わってくるそうで、上質のイベリコ豚のように放牧されて育った豚は、人間が与える飼料以外に、ドングリや草、木の根などを食べるので、肉の味が深くなるという。

もともと肉が持っている素性を拡張するのが熟成。豚肉は熟成をかければかけるほど、食べてきたエサの味わいがさらにでてくる。だからこそ、長期熟成をする生ハムは、豚肉の素性が大切となる。本物の発酵食品に、賞味期限はあってないようなものなのだそうだ。

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ハモン・イベリコ。ベジョータと呼ばれるドングリを食べて育ったイベリコ豚の最高級生ハムは、脂が口の中でフワッととろけていく。

初体験の生ハム原木は、強烈に食欲と物欲を刺激してくる。私はこの3種類の味を正確に伝えるだけの舌と表現力を持っていないので雑に表現するけれど、どれも個性的で、どれもびっくりするくらいおいしい。

たぶん、もうレストランなどで生ハムを頼むことはないだろう。この味と比べてガッカリしたくないから。なんていいたくなるくらいの衝撃なのである。

どれも材料としては塩と豚の組み合わせだけなのに、そこに職人の技術とスペインの気候が加わることで、これだけ個性的で深みのある食べ物になるのだからすごい。

食べ慣れなれていないものは、それがおいしいのか理解できないことが多々ある。生ハムも普通の日本人は食べ慣れていないと思うが、発酵による熟成の旨みは日本人にも馴染みのあるものなので、このおいしさはすぐに理解できると思う。

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コメント

  1. お久しぶりです(。・ω・)ノ゙ コンチャ♪
    こんな記事を読むと、うっかり買ってしまいそうになります(・∀・)イイ!
    きのこ栽培セットのように。
    きのこは楽しくて、美味しかったな~(*^m^)

  2. 初めまして
    以前より玉置さんの記事は「私的標本」で拝見させて頂いておりまして、そのおかげさまで釣り(沖ですが)にはまり、釣り道具(竿、リール等)に多額の投資を行い、更にこの記事によって昨年より(デイリーの記事によって)燻っていた生ハムに消火できないほどの火がついてしまった者です。
     一昨日、生ハムを(酔った勢いで)注文してしまいました。
     今週、配達されるそうなので楽しみなのですが、玉置さんには是非とも注文後の記事を書いてもらいたいと思います。

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