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街の表層にある建築物を剥ぎ取って東京の地面を眺めてみたら、いったいどんな姿が浮かび上がってくるのか──
そんな想いから制作された東京中心部の「地形模型」は、現在毎週土曜に神保町の南洋堂書店にて鑑賞することができます。そこにはこれまで見たことのなかった、けれども私たちの足下に確かにある地面の起伏が顕在化されています。さらには、この「地形模型」に映像プログラムを投影し、シーンごとの東京の姿を再現する試みも。とにもかくにもこれは必見です!
今回は完成にいたるまでの経緯を、制作者である南洋堂店主・荒田哲史さんと建築家の菊地宏さんのお二人に伺ってきました。

7500分の1の東京をつくる

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南洋堂書店外観。1階・2階が書店、4階がギャラリー、屋上には庭園もある。

千代田区神保町にある南洋堂は建築に関する書籍なら、新刊書だけでなく洋書も古書も豊富に取り扱う専門書店。創業は大正末期と古く、現在の3代目店主である荒田哲史さんのお祖父さんがはじめられた由緒ある本屋です。

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1階の店内風景。

なぜその建築専門書店で地形模型の展示を?といえばその理由は、店主の荒田さんが本業のかたわら、生まれ育った街である東京の「地形」に興味を持つようになったことがそもそものきっかけでした。

「東京は坂や谷の多い街。そのひとつひとつに目を向けて、『この窪みは昔の川跡だろうか?』などと考えて歩いたり文献を当たったりしていたんですが、あるときふと地形模型を作って東京の街を俯瞰してみたくなったんです」と荒田さんは言います。

ただ荒田さんの頭のなかにあるのはイメージのみ、そこでそのイメージを具現化してくれそうな建築家の菊地宏さんに相談することに。
「荒田さんからお話を伺って、すぐにやりましょう!という流れに。僕も地形にはずっと興味があったので」と菊地さん。

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4階のN+ギャラリー。左が建築家の菊地宏さん、右が南洋堂店主の荒田哲史さん。

通常、地形模型をつくる場合はスタイロフォームと呼ばれるスチレン発泡材を何枚も重ねて等高線を切り出していく手法が取られることが多い。けれども二人が考えているのはそんな模型然としたものではなくて、もっと地形を実感としてイメージできるものでした。

そこで菊地さんは、木材の繊維を加工した材であるMDFの板を重ねて、詳細な標高データを読み込ませた機械で削り出す手法を取ります。部分模型を試作して、機械の削り具合を確かめて、木の表面に地形を感じる荒々しさが出るように刃をこまかく調整。試行錯誤のうえ、模型のサイズは1.5m×1.5mの正方形、縮尺は1/7500で東京の中心部がおさまるサイズに決定しました。

そしていよいよ、本制作を依頼した静岡の工場から完成品が届きます。
「出来上がりがびっくりするほどよくて」と荒田さん。菊地さんも「"素"のままの東京の姿にぞくっとした、このままで一度お披露目をしよう」と、展示会の計画が持ち上がります。

そう、展示会ありきで制作したわけではなく、自分たちがただただ「見てみたい」という興味の突き動かすままに制作し、完成したのがこの地形模型なのです。実物を見るとよくわかるのですが、この"むきだし"の東京の力強さは半端じゃありません。

完成した地形模型の全貌は次ページでご紹介します!

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