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漁業という日本の問題を知ろう 勝川俊雄さんインタビュー」という、魚が好きな人間にとっては胃がキリキリと痛むようなインタビューを書かせていただいたが、今回はその第二弾。持続性を考えない日本の漁業制度の欠陥によって、乱獲を続けるしかない状況に対する、一つの答えを紹介したい。

三陸の漁業復興に可能性はあるのか

前回、三重大学生物資源学部准教授の勝川俊雄さんに伺った話をざっくりとまとめると、恵まれた漁場に囲まれているはずの日本の漁業の実情は、規制のない早獲り競争によって未成魚を獲りつくしつつあるという、悲惨なものだった。

海外では、漁獲量規制と資源管理をちゃんとやることで、漁業は成長産業となっているのにだ。

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三重大学生物資源学部准教授の勝川俊雄さん。

今回の記事では、そのインタビューの続きとして、地震による津波で甚大な被害を受けた三陸の漁業復興の可能性について聞いてみました。

インタビューから公開まで、諸事情(理由は続きを読むとわかります)で二か月も開いてしまった点はご容赦ください。

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より詳しい話は、左の「日本の魚は大丈夫か 漁業は三陸から生まれ変わる」をぜひ読んでみてください。

漁師も仲買も小売も儲かっていないシステムからの脱却

玉置:「7月に被災地である宮城県の女川や石巻などを見て回ったのですが、ようやく瓦礫を撤去して更地にしたという状況を報道などで知ってはいたのですが、やはり自分の目で見ると、愕然としました。ここから漁業の全体を考え、グランドデザインをしていき、人や企業や自治体をまとめていくっていうのは、本当に可能なのかと不安です。」

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何度も遊びにいったマリンパル女川が、なにもなくなっていて茫然としてしまった。

勝川:「全然そんなことはなく、実際にもう動いています。ただ、震災前の元の状態に戻してもしょうがないんです。すでに震災前から漁獲量の低迷や後継者不足、漁協の赤字経営などの問題はあったので、漁師が魚を獲ってきちんと生活していける状態に向けて、漁業制度の検討を含めて、復興・復旧をしていかなければならない。」

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以前、獲れたてのホヤを食べさせてもらった寄磯。地盤沈下で満潮時には水没してしまう状態。

「確かにせっかく復興をさせるのなら、未来につながる形での復興がいいですよね。震災前から、三陸の漁師は儲かっていなかったのですか?」

「漁獲量と魚価、この二つを掛けたものが収入になりますよね。そこからコストを引かれるのですが、コストはもう削減する余地がほとんどない。そうなると、魚の量を増やすか、魚の値段を上げるしかない。ところが魚の量を増やすというのは、資源管理をちゃんとやれば増えるかもしれないが、最低5年くらいは掛かるし、国が先頭に立って規制をやらなければならない。漁業者自身だけではできないんですね。そうなると、漁業者が生き残るためには、値段を上げる以外に選択肢がありません。」

「漁師って、具体的にどれくらいの稼ぎなのでしょう。」

「たとえば岩手県の毛ガニ漁の場合、地元の市場で買われる値段がすごく安くて、1パイ150円とかなんですよ。1日の売り上げが3万円だとすると、燃料と餌代、手数料で1万引かれて、手元に残るのは2万円。ただ漁に出られるのは月に5、6回で、船のメンテナンス代なども掛かります。これじゃ全然食っていけないですよね。これをなんとか変えないといけない。」

「えー、ケガニなんて、買うと1パイ1,000円はするじゃないですか。」

「なんでそんな値段になってしまうのかというと、『漁師→組合→産地仲買→荷受け→仲卸→小売→消費者』というような複雑な流通があるから。たとえば小売であるスーパーマーケットは、あらかじめ販売価格を決めている訳です。週末のチラシに値段が入っているけれど、まだその魚を仕入れていないでしょ。だから自分達の利益を乗せた額でしか買わない。そこに仲買人とか流通業者が自分達の手数料を入れると、浜の値段って、もう決まっちゃうんです。だからいいものを獲ってきても、値段が上がらない。」

「消費者側からすると、それを聞くと複雑な気持ちになりますね。」

「難しいのが、漁師から消費者に来るまでの流通が、ずっと対立構造で、なるべく安く買い叩こうとしている人達が待ち構えている訳です。会社でいえば製造部門(漁師)と営業部門(仲買人)が喧嘩しているようなもの。そんな会社が儲けられる訳ないじゃないですか。相手にどれだけ損をさせられるかみたいな勝負になっちゃっているんです。そして誰も儲かっていない。それが現状なのです。」

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