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奥田政行シェフによる「山形イタリアン」料理の一例 (C) 映画「よみがえりのレシピ」製作委員会

大量消費経済に適応できず、これまで地域に埋もれてきた「在来作物」。その魅力に光を当て、「地域の宝」として受け継ぐ人々を描く映画「よみがえりのレシピ」がいよいよ10月20日(土)より東京・渋谷のユーロスペースで上映されます。映画に込めたメッセージについて、渡辺智史監督に聞きました。

大規模農業に支配された食と文化

――これまで見向きもされなかった「在来作物」にフォーカスしています

私の出身地である山形県で在来作物の研究と保存に努め、映画にも登場する山形大学農学部の江頭宏昌教授が書いた『どこかの畑の片すみで』(共著、山形大学出版会)という本を読むことを通じて、在来作物を受け継ぐ栽培者が高齢化し、しかも後継者もいないという状況を知ったのが映画を撮るきっかけです。

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渡辺智史監督

ですので最初は、在来作物について撮るというよりも、それを守っている人のドキュメンタリーを撮ろうという思いの方が強かったのです。遺伝子組み換え作物に代表される、農業の工業化の中で失われていくものを今記録しないと、きっと忘れ去られ、世の中が平べったい社会になるのではないかと、いう思いがありました。

――「平べったい社会」とは、具体的にはどんなイメージですか。スカした世の中だな、とは私も思ったりしますが

ドキュメンタリー映画監督という仕事上、「いのちの食べ方」とか「キング・コーン」「ダーウィンの悪夢」など、食がテーマの作品を何本も観ます。そこでは食べ物が工業化されていて、その中で人間が疎外されている様子が描かれている。普通に生活している分には気付かないと思うんですけれども、それは非常に殺伐とした風景で、人間らしさがそこでは見事に極限までそぎ落とされていると感じるわけです。

そこからどう立ち上がればいいのか。自分でもいろいろと調べながら考えて、地域固有の食文化を守る必要がある、と気付いた。自分たちの食べ物を自分たちで守ろうよ、というのがスローフード運動ですが、その根っこを支えている在来作物のような地域固有の食材に、目を向ける必要がある、と知ったのです。

――本来私たちは食を通じて地域、ジモトに根差しているにもかかわらず、例えば海の向こうで作られた遺伝子組み換え作物由来の食品を食べたりする中で、不断にそのことを忘れていると

今の世の中は、生産者と消費者が分断されているとか、そうしたことを考えなくても口に物が入る仕組みですね。そこに根本的な問題があるわけですが・・・。

地域固有のもの、在来作物を守るといっても、一人で守ることはできないし、種や苗だけ守っても仕方がない。そこで、いろいろな領域の人々がチームになって地域の資源を守ることが大事だというのが、この映画で訴えたかったことの一つです。

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