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映画「シロウオ~原発立地を断念させた町~」タイトル (C)映画「シロウオ」製作委員会

原発誘致計画を断念させた人々に取材したドキュメンタリー映画「シロウオ」の上映が始まりました。原発マネーにすがることを拒否した生き方から得られる気付き、そして学びとは? ブロガーとして知られ、今回、未経験にもかかわらず映画制作に挑戦したかさこ監督に聞きました。

すがる生き方は「麻薬依存」と同じ

――映画は、それぞれ原発計画を断念させた徳島県阿南市、和歌山県日高町に取材していますね。どうして人々が「原発マネー」の誘惑に勝てたのか、が見所だと思います。そして原発だらけともいえる日本で、原発を建てさせなかった場所が34カ所もあるということに新鮮な驚きを感じました

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かさこ監督 カメライター、ブロガー。消費者金融、編集プロダクションでの勤務を経て2012年からフリーに。会社員時代の経験や旅での見聞をベースにした著書・写真集を多数刊行。ブログ「つぶやきかさこ」は毎日更新し、乙武洋匡氏のレストラン入店拒否ツイートをめぐる騒動では、実際に店舗を取材・検証した記事が1日に40万アクセスを記録した

今回カメラを向けた人々は、例えば牧場主だったり漁師だったりというように、地方で暮らしを営む普通の人たちが、純粋な思いから原発に反対しているんです。「事故は必ず起きる」「お金の問題ではない、純粋に原発は怖い」というふうに。そこには地元の豊かな自然と、それに支えられた生活を守りたいという切実な思いが込められています。

私の本業は「カメライター(カメラマン+ライター)」ですが、映画ではこちらから多くを語りかけるのではなく、インタビュー相手から言葉が出てくるのを待つスタイルに徹しました。人々が抱く「原発は危険だ」という思いは、例えば文字にしてしまうとその切実さが伝わりにくい面がありますが、映像を観ていただけると、本当に地方のどこにでもいるような人が原発に反対していたということが、分かると思います。話す言葉だけでなく、表情や服装、その場の空気感まで、全て観てほしいですね。

――今回、全くの未経験にもかかわらずメガホンを取りました

3・11を経て、自分の故郷が永遠に奪われるような原発事故が現実のものとなった。私も実際に福島第一原発から20キロ圏内に入り、見えない放射線の怖さを実感したりする中で、これをきっかけに世の中が原発問題を自分ごととして受け止め、原発をなくす方向に変わるだろう、と希望を持っていました。


映画「シロウオ」(紹介動画) 今から30年以上も昔、「原発は必ず事故を起こす」として、原発立地計画を追い返した地域があった――。紀伊水道を挟んだ対岸同士の地域、徳島県阿南市と和歌山県日高町で住民に取材したドキュメンタリー映画。「シロウオ」は体長4センチの小魚で、阿南市椿泊町では四手網を使った漁が行われている。2014年1月から各地で上映。かさこ監督、2013年製作、カラー104分

ところが現実には原発を再稼働し、維持していこうとするような巻き返しが強まっている。これはちょっとまずいぞ、という思いがあります。そもそも、3・11で社会が脱原発に向かえば、この映画を作る必要もありませんでした。

これも映画を観ていただくと分かりますが、実は原発が危ないということは、反対する人はもちろん、推進する人も知っているわけです。原発に依存せず、自立を選ぶ地域がある一方、原発を誘致した地域では、事故の危険を承知の上で、いわゆる「原発マネー」に依存して町おこしをしようとしました。

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蒲生田岬・前浜。アカウミガメが産卵に帰ってくる (C)映画「シロウオ」製作委員会

しかし、例えば原発や公共事業、あるいは大企業というように、何かにすがって生きる在り方は、私に言わせれば「麻薬依存」と同じにしか見えない。それは自立とは対極の姿です。食うためとはいえ、すがる対象を探し、依存し続けるのは根本的な解決策ではありません。原発を誘致した自治体も、交付金をもらい続けるためには、原発を次々に増設するしかないのが現実です。それは自立した地域の姿と言えるでしょうか。

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