見慣れた街を再体験する試み

国立文庫プロジェクトの立ち上げは2013年の夏のこと。街をフィールドに活躍するアーティストの木村健世さんと、「ほんとまち編集室」のメンバーと元メンバーの合計7名で、国立文庫編集室が結成されました。木村さんはこれまで『赤坂文庫』『墨東文庫・京島編』『墨東文庫・鳩の街編』の3冊の街の文庫目録を世に送り出してきましたが、今回は国立の街をフィールドに選びます。

国立を選んだ理由。それは木村さんがかつて住んでいた街であり、国立で活動する「ほんとまち編集室」メンバーとの出会いがあったから。「ほんとまち編集室」とは、国立駅近くにある「国立本店」という場を拠点に、デザインや編集などを通して、本や街に関する発信を行う活動体。まさに“本”と“街”をキーワードに動く、そんな両者が出会ったのだから、プロジェクト発足まで一気に話が進みます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
国立文庫編集室の2人。アーティストの木村さん(左)と、「ほんとまち編集室」メンバー、デザイナーの江津匡士さん。

そしてこのプロジェクトには、8名の国立文庫編集室メンバーだけでなく、もっと多くの人が関わっています。それは物語の取材をする“記者”の人々。広く一般から募集し、のべ 44名の記者が計4回の取材ワークショップに参加。店舗や施設を訪問し、街の人々が紡ぐ“物語”を取材して回りました。

bunko_04
取材ワークショップの様子。記者はオリジナルの腕章を付けて国立の街を歩く。

そして集められた“物語”は、編集室メンバーの手によって“目録”としての文章へと編集され、2014年5月25日に日の目を見ます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA
およそ1年がかりで完成!装丁はデザイナーの江津さんによるもの。本は1種類ですが、表紙は緑と桃の2種類、帯は赤と青と黄の3種類から選べます。

木村さんはこのプロジェクトを「見慣れた街を再体験する試み」と位置付けます。
「文庫プロジェクトは、ある一つの街の見方の提案です。街に住む人々の何気ない日常の“物語”を採取することで、これまで気付かなかった街の魅力に触れることができるかもしれない。それが街に対する想像力を喚起するきっかけになるのでは」と言います。街をもっと楽しく豊かに暮らすためにはどうすればよいのか?と、考えた時に生まれた一つのアクションが、この文庫プロジェクトなのです。

江津さんも「国立の街を深く掘り下げることによって、『もっとこうなったら』ではなくありのまま街の姿に愛着を持ってもらえたら」と言います。
街へ関心を持ってもらいたいと考えた時に、情報を集めてガイドブックや地図にすることは多いのですが、街への「視点」を提示するという試みは独創的なもの。街の情報が極限まで削ぎ落とされているからこそ、受け手に委ねられるものが大きくなる。それにより、受け手自身が街の表層ではなくもっと深いところまで考えるきっかけができるのではないか。そんな編集室メンバー達の街への思いが『国立文庫』という形になって結実したのです。

1 2 3

ピックアップ

tandoor08

楽しい!おいしい!ケータイタンドールの魅力
ケータイタンドールと名付けた調理器具。魚も肉もジューシーに焼き上がるそう!

このページの先頭へ