top

詩人の谷川俊太郎さんを招いた本のフェスティバルが佐渡島で行われた。その実行委員長は(自称)普通の主婦だとか。なかなかたどり着けない山の中の廃校のイベントの様子をレポートします。

「ハロー!ブックス」とはなにか

「HELLO! BOOKS 」(記事内にカタカナと英語の表記が混ざりますが気にしないでください)が行われたのは、佐渡島の南部に位置する川茂地区の廃校。廃校といっても、2013年の3月にその役割を終えたばかりのホヤホヤで、廃校っぽさがない鉄筋コンクリートの築浅物件だ。

この場所の人口が減っているのはわかっているのに、なんでこんな立派な学校を作ったのだろうとかそういう疑問は置いておいて、今回のようなイベントの会場としては申し分のないスペースである。佐渡島中でもアクセスは正直悪い場所なのだが、だからこそ現実離れした時間を味わえるのだと思う。

「本の中に迷い込む」というのがテーマのようだが、会場へとたどり着く前に、「佐渡島の中に迷い込んだ」気分になる。

IMGP7409
廃校になりたての旧川茂小学校がハローブックスの舞台。すごい山奥です。

IMGP7869
本の世界に迷い込むためのカギが入場チケットになっている。

IMGP7460
カギを手にして入ったところで、いきなりピエロらしき人がお出迎え。

IMGP7476
そこに現れたのが、グレゴの音楽一座。一人でも一座。

IMGP7499
そして肉体芸と音楽の即興コラボがはじまる。なんだこの世界は。

IMGP7733
校舎の中はまだまだ現役という感じ。これが廃校なのかー。

IMGP7523
舞台が学校ということで、校内放送がオンエアーされていた。

IMGP7304
廊下に張られた「しょんたろう」の歓迎!

このイベントはなんなのですか?

よくこの一日のために準備をしたなという感じの校舎内には、びっくりするくらいたくさんの子供たちが訪れていた。もしかしたら廃校になる前よりも多いかもしれない。佐渡にこんなたくさん子供がいたのか。

各教室をめぐる前に、広報を担当している澤村明亨さんから、このイベントの成り立ちについて話を伺ってみた。

IMGP7275
佐渡市で地域おこし協力隊をしている澤村明亨さん。

「もともとは、谷川俊太郎さんが『未来ちゃん』という佐渡島に住む少女の写真集に興味を持ち、来島することになったのがきっかけです。その『未来ちゃん』を撮影された写真家の川島小鳥さんと知り合いだった佐渡在住の田中藍さん(このイベントの実行委員長)が、せっかく谷川さんが来るんだからイベントにしたい!よし、本のフェスティバルにしてしまえ!とやったのが、去年の第一回です。そして今年も谷川さんが来てくれることになり、第二回の開催となりました。本と仲良くなろう、親しんでもらおうというコンセプトからスタートして、本という文化に触れてもらうための入り口となるよう、作家さんや編集者など、本を作っている人を島外から呼び寄せています。今回は『本の中に迷い込む』をテーマにして、一つのイベントを一冊の本に見立てました。」

谷川俊太郎さんといえば、私でもその名前を知っているビッグネームだが、「珍しい来客があるから歓迎パーティーでもしましょうか」、みたいなノリでスタートしたイベントの割には規模が大きすぎやしないだろうか。

イベントの発起人であり、実行委員長を務める田中藍さんというのは、佐渡在住の(自称)普通の主婦で、普段は柿栽培のお手伝いなどをしているらしい。このイベントはどこかの会社が出資や仕切りをしている訳でもなく、澤村さんが言うところの『企画魔』である田中藍さんの行動力と、そこに集まった仲間の力で成り立っているのである。田中さんはその持前の笑顔で人を巻き込んでいく力がすごいのだろう。

IMGP7804
谷川さんのトークショーで聞き手を務める実行委員長の田中藍さん。そんな主婦、普通いませんよ。

澤村さんはもともと大阪の出版社にいた方で、その後フリーの編集者となり、田中さんから第一回のハローブックスについての相談を受けていたそうだ。そして佐渡の本を作ってみたいと思うようになり、地域おこし協力隊(詳しくはこちら)という仕事を知り、ハローブックスに関わりながらここでの生活ができるならと思って応募したそうだ。今後は本という形にこだわらず、佐渡の魅力を広く紹介できればと考えている。

「この会場は公共交通機関がほとんどない山の中。佐渡でも中心部は関東の郊外に近い感じなのですが、ここ南部は本当になにもない場所。ただ、本当に良いところなんです。佐渡には日本の東西南北が揃っていて、さらに過去、現在、未来もある。過去が残っているだけではなく、近い未来に日本が体験するであろう場所でもあるのです。世界の果てみたいな島だけど、世界の中心だと私は思っています。」

どうやらすっかり佐渡の魅力に憑りつかれているらしい。佐渡、いいところですよねー。

1 2 3 4

ピックアップ

gaienwalk06

新国立競技場がどれほど大きいのかみてきた
新しい競技場をつくらないで、いまある競技場を改修するエコな五輪にしませんか?という思いが高まったようです。

このページの先頭へ