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猛暑から逃れようとこの夏、北アルプス・白馬連峰に1か月ほど滞在してみた。標高3千メートル級の山の上での生活とは。

稜線から北アルプスを一望

標高が100メートル上がると気温は0.6度下がるという。平地が猛暑日でも、標高3千メートルならば約17℃、快適快適というわけだ。とにかくあの殺人的な蒸し暑さから逃れたい。そんなわけで筆者はこの7月から8月にかけて、北アルプスの白馬連峰の山頂部に1か月ほど滞在した。

白馬といえばスキーやジャンプ競技が盛んで、長野五輪の会場となったことでも知られる場所。そのランドマークが白馬岳(標高2932m)だ。とりわけ長さが1.5kmに及ぶこともある大雪渓が有名で、夏でも谷を埋める雪が登山者に冷気を送ってくれる。大雪渓のきつい上りは3時間ほど続くが、アイゼン(登山靴につける金属の爪)で一歩一歩踏みしめて登るごとに、下界の湿気が和らいでいく感じがする。

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白馬岳の大雪渓を上る登山者

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山の上は高山植物の世界。白馬岳周辺は特に種類が豊富だ

さて、森林限界を抜けて山の稜線に出ると、そこは猛暑とは無縁の世界だ。そこかしこに高山植物が咲いている。定番はコマクサ。ウルップソウ、ウサギギク、イワギキョウなど、名前を覚えきれないほどの種類の花が、今が盛りと咲き乱れる。晴れて雲が切れると北アルプスの山並みが一望! 黒部峡谷を挟んで剱岳、立山。槍ヶ岳のとがった山頂は遠くからでも目立つ。富士山や日本海、能登半島も見渡せた。

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見よこの絶景! 剱岳・立山・黒部ダムなどが見える。遠くには槍ヶ岳も

しかし今年の夏は太平洋高気圧の張り出しが弱く、晴れたのは滞在中10日にも満たなかったように思う。下界は晴れていても山頂は濃いガスに覆われている、という日がほとんどだった。もっともそんな日には天然記念物のライチョウがよく姿を現す。悪天候の日、筆者もライチョウのつがいを時々見かけた。

どこを見渡しても山、山、山・・・。そうした場所で1か月も過ごしていると、月並みな感想だが、自然の雄大さと、自分のちっぽけさを思わずにはいられない。

ネイティブ・アメリカンのある部族では、若者が数日間山にこもって絶食し、神の啓示を得る「ビジョンクエスト」と呼ばれる伝統儀式が行われている、という。筆者は神の啓示を得たくて山にこもったわけではないが、山々が連なる圧倒的なパノラマを眺めていると、どうしても謙虚な気持ちになり、日頃の悩みやこだわりが些細に思えてくるものだ。しかも日常から隔たれていることで、気持ちが落ち着いたり、頭の中が整理されたりする、というような効果もあったように感じる。

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新しい競技場をつくらないで、いまある競技場を改修するエコな五輪にしませんか?という思いが高まったようです。

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