“分かりやすいこと”を目指したら、美しい地図ができあがった

増田さんに地図を作る上で特に配慮していることは、とたずねると、「分かりやすいこと」と即答が返ってきました。そうなんですよね、増田さんの地図は初めて見る人にも直感的に分かるように作られている。ただそれって実は大変なことで、“分かりやすい”というのは本人が深く理解してないとできないわけです。

地図は情報の種類が多層になっているので、その整理や取捨選択にはかなりの労力が必要で、それが地図の善し悪しを決めるといっても過言ではありません。加えて、同じカテゴリーの表記を統一するグルーピングや、直感的に分かる色の工夫などのグラフィックな処理が随所に施されて初めて“分かりやすい”地図ができあがっているのです。

なかでも増田さんの場合、絵画的なセンスが分かりやすさに一役買っています。現代にも通じるテイストの昔の絵図っていうのはかなりレアで、もはや地図というよりも工芸作品のような繊細さと緻密さ。

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例えばこの「凡例」、丸枠内の配置バランスや色の美しいこと!

その絵画的な美しさから、冊子の表紙や記念切手の台紙絵にもなっています。
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記念切手「谷中・根津・千駄木今昔」の台紙絵に。左が増田さんの絵図、右が現在の地図です。

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東京都下水道局の表紙を飾った冊子。他にも風呂敷の柄になったことがあったそう。私も欲しいです!ならば増田さん柄のハンカチや、便せん&封筒もあったら……、と妄想が膨らみます。

増田さんの絵地図を見たい方、閲覧できる場所は都内に2ヶ所あります。
1つは葛飾区中央図書館、ここでの所蔵は9点、すべて葛飾区内の地図です。デジタルライブラリーもありますので、ネット上で高精度なスキャン画像も見ることができます。

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葛飾区図書館のHPよりキャプチャ転載。地図をクリックすると、大きなサイズの地図が表示されます。

また文京区眞砂中央図書館にも7点所蔵されています。このなかで圧巻なのは「小石川本郷絵図」の4連作。江戸時代以前の農村の風景から、元禄時代、江戸末期、大正元年までを同じ範囲で描いているので、時代が移り変わっていく様子がよく分かります。

この読書の秋に、増田さんの美しい地図を見に、図書館を訪れてみてはいかがでしょうか?実物の地図は、ポスターより大きなサイズのものもあります。1枚の大きな地図に込められた豊かな情報と情熱を、ぜひ目の当たりにしてください!

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