ガレキをオブジェにするワークショップが生まれた訳

ワタノハスマイルの詳細については先ほどのリンク先に任せるとして、ここでは犬飼さんがこのようなワークショップをするようになった流れをインタビュー形式で紹介したい。

―― まず犬飼ともさんって何者なんですか?

「1979年に山形県寒河江市で生まれました」

―― おお、さくらんぼで有名な寒河江市!

「うちは米屋ですけどね。子どもの頃から絵を書いたり物を作ることが好きで、山形の高校を卒業後は東京のデザイン専門学校に入りました。在学中はずっと絵本を描いていて、卒業後もアルバイトをしながら東京で絵本を描き続ける日々を送っていたのですが、約10年前に実家の事情で山形に生活の拠点を移すことになり、50ccのスーパーカブで約2ヶ月間、北海道を1人旅しながら戻ったんです」

―― またずいぶんと遠回りをしましたね。

「なんの予定も立てていない1人旅で、たまたま道東の阿寒町という地に偶然辿り着きました。そこにアイヌのおじさんがやっている1泊500円夕食付きというスーパーオンボロだけどスーパーミラクルな宿があったんです」

―― 500円って普通は夕食代にもならないですよ。

「僕はそのおじさんととっても仲良くなり、気づけば3週間ほど泊まっていました。日中は近くにあったアイヌ資料館でアイヌの本を読んだり、アイヌの木彫り屋さんを回ったりして、そして夜はアイヌのおじさんと酒を飲む。そんな日々を過ごし、初めてアイヌ文化を知りました。アイヌは全ての物に神が宿っているという考え方をします。1つの道具を大切に感謝して使う。道具をうやまう姿勢が、なんだか今の生活よりも豊かな生き方のような気がして、物が増えれば増えるほど豊かさは減っていくのではないか? そう考えるようになりました」

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ハローブックスでは、佐渡の海岸で拾った漂着物を使ったワークショップを開催。

「この北海道の旅では、もう一つの大きな出会いがありました。阿寒町の隣町に津別町という町があって、そこに住む大西重成さんは捨てられてしまった廃品や流木などで作品を作るアーティスト。『シゲチャンランド』という自分の作品を並べた私設美術館を作っています。僕はそのシゲチャンランドに大きな衝撃を受けました」

―― シゲチャンランド……なんだか濃い出会いですね。

「その2つの出会いをきっかけに、作品を作るために新しい素材を買うことを止めました。道端とかに落ちている物だけで作品を作る。目の前にある物だけで工夫して物を作る。捨てられたゴミにさえも命を宿すこと、それはアイヌ文化と大西重成さんに影響を受けて始めたことなんです」

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自分よりも大きなオブジェを作ってご満悦のワークショップ参加者。

「山形に拠点を移してからは、海辺に落ちている漂着物を使った物作りを始めましたが、自分が作った作品よりも子どもたちが作った作品の方がおもしろいと思うようになり、漂着物を使って子どもたちとワークショップをする機会が増えていったんです」

―― 作品を作るよりも、体験の場を生むことの方が楽しくなったと。

「そんなときに東日本大震災が起きました。今までの活動はこんなときのための練習で、いよいよ人生の本番が始まるんだと瞬間的に思いました」

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もちろん子どもだけじゃなく、だれがやっても楽しいワークショップ。次は私もやりたい。

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